退職金2,000万円を普通預金に1年置くと、利息は約2万円。同じ2,000万円を年利2.5%で運用すると、1年で約50万円。20年で差額は約1,280万円に広がる。

「おすすめの運用方法」は山ほど出てくる。しかし退職金で本当に必要なのは「増やす方法」ではなく「減らさない配分」だ。

退職金のおすすめ運用方法は結局どの3つ?

おすすめは個人向け国債(変動10年)・バランス型インデックスファンド・iDeCoの3つだ。

この3つを選ぶ理由はシンプル。「元本保証の安全資産」「低コストの分散投資」「税制優遇」という退職金運用に必要な3要素をそれぞれカバーしているからだ。

おすすめ運用方法3選の比較

運用方法役割期待利回り元本保証税制メリット
個人向け国債(変動10年)守りの土台0.5〜0.8%あり利息に20.315%課税
バランス型インデックスファンド資産の成長3〜4%なしNISA枠で非課税可
iDeCo手取り最大化2〜6%(運用次第)なし掛金全額所得控除

退職金運用における「配分術」とは、退職金全体を安全資産と成長資産に分割し、元本割れリスクを許容範囲内に収めながらインフレ以上のリターンを目指す資金配分の設計手法だ。

ここまでで分かったこと
  • おすすめは国債・バランス型投信・iDeCoの3つ
  • 安全性・分散・税制優遇の3要素を1つずつカバー

個人向け国債はなぜ退職金の「土台」になるのか?

個人向け国債(変動10年)は、国が元本を保証し、金利が半年ごとに市場連動で見直される商品だ。

退職金運用の土台に適している理由は3つ。

  1. 元本保証: 国の信用で全額保証。ペイオフ制度の1,000万円上限もない
  2. 変動金利: 金利上昇局面で利率が自動的に上がる。インフレ対応力がある
  3. 中途換金可能: 購入後1年経過すれば換金できる(直前2回分の利息を返還)

2026年7月発行分の利率は年0.72%。仮に800万円を国債に配分すると、年間約5.8万円の利息が得られる。定期預金(0.3%)なら年2.4万円だから、年間3.4万円の差になる。

Bさん(62歳・公務員退職・退職金2,200万円)は、退職金のうち900万円を個人向け国債に配分した。「元本が減らない安心感があるから、残りの資金で投資信託を買う心理的余裕が生まれた」という。

ここまでで分かったこと
  • 国債は元本保証+変動金利でインフレにも一部対応
  • 心理的な「守りの土台」があるから攻めの投資ができる

バランス型インデックスファンドはどう選ぶ?

バランス型インデックスファンドは株式と債券を1本で分散投資できる商品だ。選ぶ基準は3つだけ。

  1. 信託報酬が年0.2%以下であること。年0.5%と年0.15%の差は、1,000万円で年3.5万円。20年で約70万円の差になる
  2. 株式比率が30〜60%であること。退職金運用は守り重視。株式100%のインデックスファンドは値動きが大きすぎる
  3. 純資産総額が500億円以上であること。運用規模が小さいと繰上償還(強制解約)のリスクがある

当メディアの試算(国税庁・厚労省統計に基づく決定論的計算)によると、退職金2,000万円のうち800万円をバランス型投信(株式50%:債券50%)で運用した場合、年平均利回り3.5%で20年後に約1,590万円になる。元の800万円から約790万円の増加だ。

NISA(つみたて投資枠)を活用すれば、年間120万円まで非課税で投資できる。退職金の一部を毎月10万円ずつ積み立てる方法なら、一括投資のタイミングリスクも分散できる。

バランス型投信の選定基準

チェック項目基準理由
信託報酬年0.2%以下コストが長期リターンを削る
株式比率30〜60%退職金運用は守り重視
純資産総額500億円以上繰上償還リスクの回避
運用実績5年以上短期の成績は参考にならない
ここまでで分かったこと
  • 信託報酬0.2%以下・株式比率30〜60%・純資産500億円以上が基準
  • NISAのつみたて枠で非課税+時間分散が最適解

iDeCoは退職金運用にどう組み込む?

iDeCoは掛金が全額所得控除になるため、退職後も所得がある人にとって手取り最大化の強力な手段だ。

退職後に再雇用や個人事業で収入がある場合、iDeCoの掛金は所得税・住民税の節税効果がある。年収400万円の人が月2.3万円(年27.6万円)を拠出すると、所得税・住民税合わせて年約5.5万円の手取り増加になる。

iDeCoのもう1つの強みは「5年ルール」だ。退職金を60歳で一時金受取し、iDeCoを65歳以降に一時金で受け取ると、退職所得控除を2回使える。

Cさん(55歳・IT企業・退職金1,800万円)のケースでは、60歳退職時に退職金を一時金で受取。退職後はフリーランスとして月6.8万円をiDeCoに拠出。5年間で約408万円を積み立て、65歳でiDeCo一時金を受け取る計画だ。iDeCoの退職所得控除(20年×40万円=800万円)がフル適用されるため、iDeCo分は全額非課税で受け取れる。

ここまでで分かったこと
  • iDeCoは所得控除+退職所得控除の二重の税制メリット
  • 退職金受取から5年あけてiDeCo一時金受取が鉄則

2,000万円の最適配分はどうなる?

結論として、退職金2,000万円のおすすめ配分は以下のとおりだ。

退職金2,000万円のおすすめ配分モデル

配分先金額割合役割
定期預金(生活防衛)500万円25%生活費2年分の確保
個人向け国債(変動10年)600万円30%元本保証の安全資産
バランス型投信(NISA活用)700万円35%資産の成長(年3〜4%)
iDeCo200万円10%手取り最大化(税制優遇)
合計2,000万円100%期待利回り 年約2.5%

この配分で20年間運用した場合、資産全体は約3,280万円になる。元本割れの確率は過去30年の実績ベースで約8%。一方、全額定期預金なら20年後の実質購買力は約1,700万円まで目減りする。

まとめ

退職金運用のおすすめは「国債で守り、投信で増やし、iDeCoで手取り最大化」の3本柱だ。

覚えておくべきは1つだけ。生活防衛資金を確保してから投資に回す。この順番を守れば、退職金運用で致命的な失敗をすることはない。