退職金1,000万円を受け取ったAさん(55歳・勤続20年)は、手取りが約985万円だった。差し引かれた税金は約15万円。一方、勤続25年のBさんは同じ1,000万円を受け取って税金ゼロ。この差は「退職所得控除」の仕組みを知っているかどうかで決まる。

あなたの勤続年数では、1,000万円の手取りはいくらになるか。この記事で正確な金額を確認してほしい。

退職金1,000万円の手取りは勤続年数でいくら変わりますか?

退職金1,000万円の手取りは、**勤続20年で約985万円、勤続25年以上で1,000万円(税金ゼロ)**になる。

退職金にかかる税金は「退職所得控除」で大幅に軽減される。退職所得控除とは、退職金から無条件で差し引ける非課税枠のことだ。勤続年数が長いほど控除額が大きくなる。

退職金1,000万円の勤続年数別・手取り一覧

勤続年数退職所得控除課税退職所得税額合計手取り
15年600万円200万円約30万円約970万円
20年800万円100万円約15万円約985万円
23年1,010万円0円0円1,000万円
25年1,150万円0円0円1,000万円
30年1,500万円0円0円1,000万円

勤続23年以上であれば退職所得控除が1,000万円を超えるため、税金はゼロだ。勤続20年でも税額は約15万円。退職金1,000万円の手取り率は97〜100%と非常に高い。

ここまでで分かったこと
  • 勤続23年以上なら退職金1,000万円は全額手取り
  • 勤続20年でも税額は約15万円。手取り率98.5%

退職金1,000万円の税額はどう計算しますか?

退職金の税額は、退職所得控除→1/2課税→速算表の3ステップで計算する。

Aさん(55歳・中小企業勤務・退職金1,000万円・勤続20年)のケースで実際に計算する。

ステップ1: 退職所得控除額を算出

退職所得控除額とは、退職金から無条件で差し引ける非課税枠のことだ。

  • 勤続20年以下: 40万円 × 勤続年数(最低80万円)
  • 勤続20年超: 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

Aさんの場合: 40万円 × 20年 = 800万円

ステップ2: 課税退職所得金額を計算

(退職金 − 退職所得控除額)× 1/2 = 課税退職所得金額

(1,000万円 − 800万円)× 1/2 = 100万円

ステップ3: 所得税・住民税を計算

所得税: 100万円 × 5% = 5万円

復興特別所得税: 5万円 × 2.1% = 約1,050円

住民税: 100万円 × 10% = 10万円

税額合計: 約15.1万円

手取り: 1,000万円 − 15.1万円 = 約984.9万円

所得税の速算表(退職所得に適用)

課税退職所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
330万円以下10%97,500円
695万円以下20%427,500円
900万円以下23%636,000円
1,800万円以下33%1,536,000円
ここまでで分かったこと
  • 退職所得控除→1/2課税→速算表の3ステップで完結
  • 退職金1,000万円・勤続20年の税額は約15万円

勤続15年で退職金1,000万円を受け取るとどうなりますか?

勤続15年の場合、手取りは約970万円。税額は約30万円になる。

Cさん(50歳・IT企業・退職金1,000万円・勤続15年)のケースで計算する。

退職所得控除額: 40万円 × 15年 = 600万円

課税退職所得金額:(1,000万円 − 600万円)× 1/2 = 200万円

所得税: 200万円 × 10% − 9.75万円 = 10.25万円

復興特別所得税: 10.25万円 × 2.1% = 約2,153円

住民税: 200万円 × 10% = 20万円

税額合計: 約30.5万円

手取り: 約969.5万円(手取り率97.0%)

当メディアの試算(国税庁・厚労省統計に基づく決定論的計算)によると、勤続15年と勤続25年では退職金1,000万円の手取り差は約30万円。勤続年数があと5年長ければ、この30万円は丸々残る計算になる。

ここまでで分かったこと
  • 勤続15年の退職所得控除は600万円。税額は約30万円
  • 勤続20年と比べると税額が約15万円多い

「退職所得の受給に関する申告書」を出さないとどうなりますか?

申告書を出さなかった場合、退職金の20.42%が源泉徴収される。1,000万円なら約204万円だ。

この申告書を退職時に勤務先に提出すれば、退職所得控除を適用した正しい税額が源泉徴収される。未提出だと一律20.42%の源泉徴収が行われ、確定申告で差額を還付してもらう必要がある。

Aさんのケースで比較する。

申告書提出の有無による源泉徴収額の違い

申告書源泉徴収額確定申告最終税額
提出あり約15万円不要約15万円
提出なし約204万円必要(還付)約15万円

最終的な税額は同じだが、未提出の場合は約189万円が一時的に手元から消える。還付まで数ヶ月かかるため、必ず退職時に提出する。

ここまでで分かったこと
  • 退職所得の受給に関する申告書は退職時に必ず提出する
  • 未提出だと1,000万円に対し約204万円が源泉徴収される

退職金1,000万円の手取りを最大化するにはどうすればよいですか?

手取りを最大化するポイントは3つある。

1. 勤続年数の端数を活かす

勤続年数は1年未満を切り上げて計算する。19年6ヶ月なら20年扱いだ。退職時期を数ヶ月遅らせるだけで、控除額が40万円(20年以下)または70万円(20年超)増える。

2. iDeCoとの受取順序を調整する

iDeCoの一時金と退職金を同時に受け取ると、退職所得控除を共有する。5年以上間隔を空ければ、それぞれ別枠で控除が使える(5年ルール)。

3. 退職所得の受給に関する申告書を確実に提出する

提出しなければ20.42%が源泉徴収される。約189万円の過大徴収を避けるため、退職日までに人事部へ提出する。

ここまでで分かったこと
  • 勤続年数は1年未満切り上げ。退職時期の調整で控除が増える
  • iDeCoがある場合は5年ルールの活用を検討する

まとめ:退職金1,000万円の手取りは勤続年数で決まる

退職金1,000万円の手取りは、勤続23年以上なら全額手取り、勤続20年でも約985万円だ。

  1. 勤続23年以上: 退職所得控除が1,000万円超。税金ゼロで全額手取り
  2. 勤続20年: 退職所得控除800万円。税額約15万円で手取り約985万円
  3. 勤続15年: 退職所得控除600万円。税額約30万円で手取り約970万円

退職金1,000万円は退職所得控除の恩恵を最大限に受けられる金額帯だ。税率は低く、手取り率は97〜100%。まずは自分の勤続年数で控除額を確認し、正確な手取りを把握しておこう。