退職金2,000万円を受け取ったAさん(60歳・勤続30年)は、手取りが約1,962万円だった。税金として引かれた約38万円の内訳を見て「思ったより少ない」と安堵した。

一方、勤続20年で同じ2,000万円を受け取ったBさんの税額は約142万円。Aさんとの差は約104万円。退職金は同じでも、勤続年数で手取りが100万円以上変わる。

退職金2,000万円の手取りは勤続年数でいくら変わりますか?

退職金2,000万円の手取りは、勤続38年以上で2,000万円(税金ゼロ)、勤続30年で約1,962万円、勤続20年で約1,858万円になる。

退職金2,000万円の勤続年数別・手取り一覧

勤続年数退職所得控除課税退職所得税額合計手取り手取り率
20年800万円600万円約142万円約1,858万円92.9%
25年1,150万円425万円約68万円約1,932万円96.6%
28年1,360万円320万円約49万円約1,951万円97.6%
30年1,500万円250万円約38万円約1,962万円98.1%
33年1,710万円145万円約22万円約1,978万円98.9%
35年1,850万円75万円約11万円約1,989万円99.5%
38年2,060万円0円0円2,000万円100%

勤続20年から38年の間で手取り差は最大142万円。勤続年数が1年増えるごとに退職所得控除が70万円ずつ増え、税額が着実に減っていく。

ここまでで分かったこと
  • 勤続38年以上なら退職金2,000万円は全額手取り
  • 勤続20年と38年で手取り差は142万円

税額83万円の内訳はどう計算しますか?

タイトルの「税額83万円」は勤続30年のケースにおける概算だ。正確にAさん(60歳・製造業・退職金2,000万円・勤続30年)の税額を計算する。

ステップ1: 退職所得控除額を算出

退職所得控除額とは、退職金から無条件で差し引ける非課税枠のことだ。

800万円 + 70万円 ×(30年 − 20年)= 800万円 + 700万円 = 1,500万円

ステップ2: 課税退職所得金額を計算

(2,000万円 − 1,500万円)× 1/2 = 250万円

ステップ3: 所得税を計算

250万円 × 10% − 9.75万円 = 15.25万円

復興特別所得税: 15.25万円 × 2.1% = 約3,203円

所得税合計: 約15.6万円

ステップ4: 住民税を計算

250万円 × 10% = 25万円

退職金2,000万円・勤続30年の税額内訳

税目計算式税額
所得税250万円×10%−9.75万円15.25万円
復興特別所得税15.25万円×2.1%約0.32万円
住民税250万円×10%25万円
合計約40.6万円

手取り: 2,000万円 − 40.6万円 = 約1,959.4万円(手取り率98.0%)

ここまでで分かったこと
  • 退職金2,000万円・勤続30年の税額は約41万円
  • 税額の内訳は所得税約15.6万円+住民税25万円

勤続20年で退職金2,000万円を受け取るとどうなりますか?

勤続20年の場合、税額は約142万円。手取り差は勤続30年と比べて約100万円以上になる。

Bさん(55歳・金融業・退職金2,000万円・勤続20年)のケースで計算する。

退職所得控除額: 40万円 × 20年 = 800万円

課税退職所得金額:(2,000万円 − 800万円)× 1/2 = 600万円

所得税: 600万円 × 20% − 42.75万円 = 77.25万円

復興特別所得税: 77.25万円 × 2.1% = 約1.62万円

住民税: 600万円 × 10% = 60万円

税額合計: 約138.9万円

手取り: 約1,861.1万円(手取り率93.1%)

当メディアの試算(国税庁・厚労省統計に基づく決定論的計算)によると、勤続20年と30年で退職金2,000万円の税額差は約98万円。勤続年数が10年長いだけで、手取りが約100万円変わる計算だ。

ここまでで分かったこと
  • 勤続20年・退職金2,000万円の税額は約139万円
  • 勤続30年と比べて手取り差は約100万円

退職金2,000万円のケーススタディ

Cさん(58歳・製造業・退職金2,400万円・勤続33年)のケースと比較する。退職金は2,400万円だが、退職所得控除が大きいため手取り率は高い。

退職所得控除額: 800万円 + 70万円 × 13年 = 1,710万円

課税退職所得金額:(2,400万円 − 1,710万円)× 1/2 = 345万円

所得税: 345万円 × 20% − 42.75万円 = 26.25万円

復興特別所得税: 約0.55万円

住民税: 345万円 × 10% = 34.5万円

税額合計: 約61.3万円

手取り: 約2,338.7万円(手取り率97.4%)

退職金額別の手取り比較(勤続30年以上)

退職金勤続年数退職所得控除税額合計手取り手取り率
2,000万円30年1,500万円約41万円約1,959万円98.0%
2,000万円35年1,850万円約11万円約1,989万円99.5%
2,000万円38年2,060万円0円2,000万円100%
2,400万円33年1,710万円約61万円約2,339万円97.4%
ここまでで分かったこと
  • 退職金2,400万円・勤続33年でも手取り率は97.4%
  • 退職所得の税負担は給与所得と比べて大幅に軽い

退職金2,000万円の手取りを最大化するにはどうすればよいですか?

手取りを最大化するために確認すべきは4つだ。

1. 勤続年数の端数を確認する

勤続年数は1年未満を切り上げる。29年6ヶ月なら30年扱いになり、退職所得控除が70万円増える。定年退職日を数ヶ月遅らせるだけで手取りが変わる。

2. 退職所得控除で全額カバーできるか確認する

退職所得控除が2,000万円を超えるのは勤続38年以上。勤続37年6ヶ月(切り上げで38年)なら控除額2,060万円で税金ゼロだ。

3. 再雇用制度の活用を検討する

60歳定年で退職金を受け取らず、65歳まで再雇用で勤務してから受け取ると、勤続年数が5年伸びる。退職所得控除が350万円増え、税額が大幅に減る。

4. iDeCoとの受取順序を5年ルールで調整する

iDeCoの一時金と退職金を同時に受け取ると退職所得控除を共有する。iDeCoを先に受け取り、5年以上空けて退職金を受け取れば控除枠を別々に使える。

ここまでで分かったこと
  • 勤続38年以上で退職金2,000万円は税金ゼロ
  • 再雇用で勤続年数を伸ばせば退職所得控除が増える

まとめ:退職金2,000万円の手取りは勤続年数で決まる

退職金2,000万円の手取りは、勤続38年以上なら全額手取り、勤続30年で約1,962万円、勤続20年で約1,858万円だ。

  1. 勤続38年以上: 退職所得控除2,060万円以上。税金ゼロで全額手取り
  2. 勤続30年: 退職所得控除1,500万円。税額約41万円で手取り約1,959万円
  3. 勤続25年: 退職所得控除1,150万円。税額約68万円で手取り約1,932万円
  4. 勤続20年: 退職所得控除800万円。税額約139万円で手取り約1,861万円

退職金2,000万円は大卒・勤続35年以上の平均退職金(約2,048万円)に近い金額帯。退職前に勤続年数・退職所得控除額・iDeCoの有無を確認し、手取りを1円でも多く残す戦略を立てておこう。